肝硬変の初期症状とは?チェック方法から治療の内容まで詳しく解説
最近お酒を飲むとお腹まわりに違和感があるため、検索して肝硬変について気になったのだが、どのような病気かよくわからず困っている人はいませんか?
この記事では、肝硬変の初期症状をチェックする方法から治療の内容まで詳しく解説します。
目次
肝硬変の初期症状とは?
肝硬変は初期症状がない人も存在し、約1/3の人は無症状です。
症状がある人の場合、以下のような症状が見受けられます。
| 項目 | 概要 |
| 倦怠感 | ・なんとなく体がだるい・疲れやすい・休んでも回復しにくい |
| 食欲の低下 | ・食事をしたいという気持ちがわかない・少し食べただけで満腹になる |
| 腹部の膨満感 | ・お腹にガスが溜まったように張る |
しかし上記の症状は肝硬変だけに見られる初期症状ではありません。
病気が隠れていることに気づきにくく、病院に行ったり検査タイミングを逃してしまったりする人もいる注意すべき病気です。
肝硬変の初期症状のチェック方法
自分の体調不良が肝硬変の初期症状であるかどうかは、以下の症状をチェックしてみてください。
- 黄疸で皮膚や白目が黄色くなっていないか
- 足を中心とした浮腫がないか
- こむら返りを起こしていないか
- 体重が減少していないか
- 皮膚に赤紫色の発疹がないか
- 体にかゆみがないか
- 指先の肥大(ばち指)が見られるか
もし当てはまる項目が多ければ、早めにかかりつけ医に受診しましょう。
肝硬変の治療

肝硬変を完治させるには肝移植しか方法がありません。それ以外では、病気の進行を遅らせたり、予防目的の治療を行ったりします。
肝硬変の治療について、原因に対する治療、合併症に対する治療、肝移植の3つの観点からご紹介します。
肝硬変の原因に対する治療
肝硬変には複数の原因があり、それぞれ以下の治療を行います。
| 肝硬変の主な原因 | 治療の目的 | 治療の内容 |
| B型肝炎・C型肝炎 | ウイルスによる肝硬変の悪化・損傷を防ぐ | B型肝炎ワクチン・核酸アナログ製剤・C型肝炎抗ウイルス剤の仕様 |
| 飲酒 | 肝硬変の進行予防 | 禁酒 |
| 薬剤 | 肝臓の損傷予防 | 市販薬やハーブ製品、栄養補助食品なども含めて中止 |
| ウィルソン病(指定難病17で遺伝性の先天性銅過剰症) | 銅が蓄積して肝臓が損傷するのを防ぐ | 体内から銅を除去する薬剤で治療 |
| 脂肪性肝疾患 | 肝硬変に進行するのを予防 | 食事療法、運動療法、減量 |
| 自己免疫性肝疾患 | 肝硬変に進行するのを予防する | コルチコステロイドか免疫系の働きに影響を与える他の薬剤で治療 |
肝硬変は、各種原因により薬物や生活改善なの、さまざまな異なる方法で治療が行われるのを知っておきましょう。
合併症に対する治療
肝硬変の患者が合併症を引き起こした場合、次の方法で治療を行います。
| 合併症の種類 | 治療の目的 | 治療の内容 |
| 腹水への貯留 | 過剰な腹水の排出を促す | 塩分摂取の制限や薬で尿量を増やしたり、突き刺して直接腹水を抜く |
| ビタミン欠乏症 | ビタミン摂取量を増やす | ビタミンを補充 |
| 肝性脳症 | 腸内(便に含まれる)の毒素を吸着して除去する | 薬物治療、便秘にならないようにする |
| 毒素を作り出している消化管内の細菌を減らす | 抗菌薬の投与 | |
| 食道や胃の静脈瘤からの出血 | 肝臓の血管内の血圧を下げる | ベータ遮断薬の投与など |
| 出血を止める | 内視鏡で出血を起こしている血管をゴムバンドでしばる(内視鏡的結紮術) | |
| 出血している静脈に、接着剤の一種を注入する | ||
| 胃の静脈瘤には、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 | ||
| 経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS) |
消化管の静脈瘤からの出血には複数の治療方法がありますが、ベータ遮断薬が効かなかったり、血管がうまくゴムバンドでしばれなかったりする場合もあるため、他の方法で治療することもあります。
どのような治療でも同じですが、効果があるかどうかはやってみなければわからないため、主治医と相談しながら進めることが大切です。
肝移植
肝移植とは肝臓が機能しなくなった患者に臓器移植を行う治療法で、患者の腹部を切開して機能を失った肝臓を摘出し、移植する肝臓に患者の血管と胆管をつなぐため通常は輸血が必要です。
一般的に手術には4時間半以上かかり、必要な入院期間は7日間〜12日間です。
移植できる肝臓は以下の2つにわけられます。
| 移植できる部分 | ドナー | 時間制限 |
| 肝臓全体 | 亡くなった人 | 最長で18時間保存できる |
| 肝臓の一部 | 生きている人 | ー |
また手術後には拒絶反応、肝炎、腎不全、黄疸などの合併症を引き起こす可能性があります。
肝移植を受けた人の生存率は次の通りです。
| 時間 | 生存率 |
| 移植後1年時点 | 90%~95% |
| 移植後3年時点 | 80%~85% |
| 移植後5年時点 | 約75% |
身体的にも精神的にも大変な治療ですが、肝硬変を根治させたい人は肝移植を積極的に検討しましょう。
肝硬変にかかった場合の余命と予後

肝硬変は肝移植以外に根治させる治療方法がないことから、余命を知りたいと考える方も少なくないようです。
しかし余命とはそもそも統計的な予測に過ぎないため、患者本人にとって絶対的な数値ではありません。そのため余命よりも、本人の治療への取り組み具合によって差がつく予後が大切になってきます。
予後とは経過の見通しのことで、肝硬変患者の予後は原因、重症度、他の症状や病気の有無、治療の有効性によって変わります。
例えば、前の項目でもご紹介した通り飲酒を完全にやめれば肝硬変の進行を防ぐことができますが、飲酒を続ければ進行は逆に早くなり重い合併症を引き起こす可能性も高くなります。
また肝硬変患者の半数は死亡時に肝細胞がんを合併しているため、定期健診で早めにがんを発見するのも大切です。
予後をできるだけ良くするためにも、医師から受けた日常生活での注意を守り肝臓に負荷をかけない生活を心がけましょう。
肝硬変を予防するには?

肝硬変を予防するには、以下のことを意識して生活をするのが望ましいでしょう。
- 肝硬変の原因になる病気を予防する
- 肝炎ウイルスへの感染を予防する(B型肝炎はワクチン接種で予防可能)
- 定期的に健康診断を受ける
- 生活習慣を見直しバランスのよい食事と運動を心がける
- 飲酒や喫煙を控える
- 肝臓に負担をかける薬やサプリメントの乱用をしない
- 肝硬変の疑いを持ったら早めに受診する
- 必要に応じて内視鏡検査を受ける
肝臓病全体に言えることですが、症状がなかなか現れにくいため健康診断をしっかり受けるのが早期発見につながります。
自分が肝硬変ではないかと心配な方は多聞内科クリニックにご相談ください

多聞内科クリニックには「肝臓内科」があり、肝臓の病気を専門に診療を行っています。
そのため肝硬変の診断や治療はもちろん、以下の病気の方も来院され回復に向けた治療に取り組まれているのです。
- B型慢性肝炎
- C型慢性肝炎
- 自己免疫性肝炎
- 原発性胆汁性胆管炎
- アルコール性肝障害
- 薬剤性肝障害
- 脂肪肝
上記には肝硬変の原因になる病気も含まれているため、肝硬変になる前の段階で診断を受け治療をすることが予防にもつながっています。
健康診断で肝臓の状態が良くないと指摘された方や、お酒であまり体調が良くないと感じる方は次のページもごらんください。
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まとめ
肝硬変は初期症状がない人も存在し、約1/3の人は無症状なので発症しても自覚できない場合があります。
そのため早期に発見したいなら定期的に健康診断を受け、自分の肝臓の状態を観察することが大切です。
この記事も参考にして肝硬変にならないよう予防に務め、もし症状がある場合は早めの受診を心がけてください。