高血圧を予防するには?望ましい生活習慣を詳しく解説
年齢を重ねるにつれ、血圧には気をつけなければいけません。ですが、なぜ血圧が高すぎたり低すぎたりすると望ましくないの分からないと思っている人はいませんか?
この記事では、高血圧を予防するために望ましい生活習慣について詳しく解説します。
目次
高血圧とは?

2025年8月29日に特定非営利活動法人日本高血圧学会が発刊した「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、年齢によらず降圧目標が130/80mmH未満(診察室血圧)、125/75mmHg未満(家庭血圧)と定められました。
降圧目標とは、高血圧の治療において血圧をどの程度まで下げればよいかを示す基準値のことであるため、上記の値より高い値が出れば高血圧と見なされます。
また診察室血圧と家庭血圧の定義は以下の通りです。
| 項目 | 概要 |
| 診察室血圧 | カフ(血圧計についている上腕に巻くベルト部分)を心臓の高さに持ち、安静座位で1~2分の間隔を置いて複数回測定した時の血圧 |
| 家庭血圧 | ①朝の起床後1時間以内②排尿後③朝の服薬および朝食前④晩就床前①~④のいずれかに座位で1~2分安静にした後原則2回測定して平均値を取った血圧 |
安静座位とは椅子の背もたれに寄りかかり、肘掛に前腕を置きリラックスした状態のことを指します。
血圧が気になる人はまず正しい基準値と測定方法を知り、定期的に測ってみることから始めてみましょう。
参考:特定非営利活動法人日本高血圧学会「【高血圧管理・治療ガイドライン2025】発刊についてのお知らせ」
高血圧を予防するメリット
高血圧を予防するメリットは以下の通りです。
- 脳卒中、動脈瘤、心不全、心臓発作、慢性腎臓病などにかかるリスクを減らせる
- 血管の健康を維持できる
- 生活習慣病を予防できる
高血圧を予防するのは、現在よりも将来的に起こりうる健康へのリスクを減らせるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
高血圧を予防するための生活習慣とは?

高血圧を予防するための生活習慣について、食事、運動、禁煙、睡眠の4つの観点からご紹介します。
高血圧を予防するための食事
高血圧を予防するための食事について、減塩、DASH食、脂質の取り方、節酒の4つの観点から見ていきましょう。
減塩を心がける
高血圧を予防するためには、1日あたりの塩分摂取量を6g未満に抑えましょう。
この場合ナトリウム含有量の少ない香辛料を使うのも有効です。
食品表示法ではナトリウムを「食塩相当量(g)」として表示することが義務付けられているため、この値を参考にして献立を立てるのがおすすめです。
また文部科学省が運営する食品成分データベースでも食塩相当量を調べることが可能なため、表示がないものは調べて計算してみるのもよいでしょう。
DASH食
DASH食とはDietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の頭文字を取った言葉で、野菜・果物・低脂肪の乳製品が豊富で飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事のことを指します。
DASH食で積極的な摂取が推奨される栄養素は次の通りです。
| 栄養素の種類 | 概要 | 多く含まれる食品 |
| カリウム | ・体内でナトリウムが増えると、尿での排出を促し血圧を下げる働きをする | ・野菜・果物・いも類・きのこ類・海藻類 |
| カルシウム | ・マグネシウムや食物繊維と一緒に取ると相乗効果が生まれ血圧が下がる | ・牛乳・乳製品・大豆製品・小松菜 |
| マグネシウム | ・カルシウムの働きをバランスよく調整し必要以上の血管収縮を抑えたり、血管の拡張を促したりする | ・種実類(アーモンドやピーナッツ)・玄米などの穀類・豆類(特に大豆製品) |
| 食物繊維 | ・余分な糖質や脂質、コレステロールなどの排出を促す働きがあり、動脈硬化を防ぐ | ・海藻・果物・穀類・豆類・野菜・きのこ類 |
| タンパク質 | ・血管を丈夫に保つ | ・魚類(赤身)・肉類(赤身)・大豆類・卵類・乳製品 |
最初は野菜を多めに取ることから始め、少しずつ献立を変化させていくのがおすすめです。
参考:特定非営利活動法人日本成人病予防学会「DASH食 ~今話題の健康ワード!~」
脂質の取り方に気を付ける
高血圧を予防するためには、脂質の取り方を意識するのが重要です。
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取をおさえ、魚油を積極的に取るのが望ましいでしょう。
具体的にはベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉や加工食品の摂取を減らし、お刺身や焼き魚などを増やすのです。
今まで肉類を多めに取ってきた人の場合急に献立を変えるのは難しい可能性もあるため、まずは加工肉を減らすといった形で少しずつ改善していきましょう。
節酒
高血圧を予防するためには、お酒を減らすのも大切です。
具体的には男性の場合1日当たりのエタノール摂取量を20ml~30ml以下、女性の場合10ml~20ml以下におさえましょう。
現在お酒を飲んでいる人は、以下の目安量を参考にしてみてください。
| 男性 | 女性 | |
| ビール中瓶 | 1本 | 1/2本 |
| 日本酒 | 1合 | 1/2合 |
| 焼酎 | 0.5合弱 | 0.25合弱 |
| ウィスキー・ブランデーダブル | 1杯 | 1/2杯 |
| ワイン | 2杯弱 | 1杯弱 |
女性は男性の半分程度を意識して飲むとよいでしょう。
高血圧を予防するための運動
高血圧を予防するには適度な運動も生活に取り入れてみましょう。
目安としては軽強度の有酸素運動を毎日30分、または1週間に180分行うのがおすすめです。
ただしこの運動量は脳心血管病のないⅡ度高血圧以下の患者が対象となるため、まずはかかりつけ医に適切な運動量を相談するとよいでしょう。
禁煙
高血圧を予防するには禁煙も効果的です。
禁煙には受動喫煙の防止も含まれるため、喫煙所の側や家族でたばこを吸っている人の側にはあまり近寄らないようにするのが望ましいでしょう。
睡眠
高血圧を予防したいなら十分な睡眠を取るのも大切です。
1日に6時間以上を目安に睡眠をしっかり取ることが、血圧のコントロールに良い影響を及ぼすでしょう。
高血圧で注意したい合併症

高血圧が長期間に渡って続くと、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 心臓発作
- 心不全
- 腎不全
- 脳卒中
- 血管性認知症
高血圧により血液を送り出す時に心臓や血管にかかる負荷が増えるため、上記のような合併症が起こりやすくなるのです。
高血圧の兆候が見られたら、早期に受診し治療を受けることが大切です。
高血圧が気になる方は多聞内科クリニックにご相談ください

高血圧が気になる方は、多聞内科クリニックの内科にご相談ください。
内科では生活習慣病全般で悩まれる患者の皆様をサポートしております。
動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、慢性腎臓病などの重大な病気を引き起こさないためにも、健康診断などで高血圧を指摘された方は早めの受診をおすすめします。
受診の流れや診療内容については、内科ページでご案内しています。
まとめ
高血圧自体は無症状の場合が多いのですが、しっかりと予防をすることで脳卒中、動脈瘤、心不全、心臓発作、慢性腎臓病などにかかるリスクを減らせます。
この記事も参考にして、ぜひ積極的に高血圧の予防に取り組んでみてください。