メタボリックドミノとは?肥満が起こす病気の連鎖を詳しく解説
最近若いころと比較して体重がかなり増加してきているので、そろそろダイエットに踏み切りたいと思っているけれど、なかなか一歩踏み出せず困っている人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、メタボリックドミノについて詳しく解説します。
目次
メタボリックドミノとは?

画像出典:第115回日本内科学会講演会 伊藤裕「メタボリックドミノと先制医療」
メタボリックドミノとは、悪い生活習慣によって起こる、肥満をきっかけとして次々に糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病やその合併症を発症し、最終的に失明や脳卒中といった重い疾患に至る過程を指す言葉です。
上記画像のように、望ましくない生活習慣が肥満という症状を生み出した後、時間の経過とともにたくさんの病気を引き起こし、ドミノ倒しのように健康が損なわれていきます。
年齢を重ねても健康を維持し続けるためには、肥満を少しずつでも解消することが大切です。
参考:第115回日本内科学会講演会 伊藤裕「メタボリックドミノと先制医療」
参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「【今さら聞けない?】メタボって何が悪いの?―メタボリックシンドロームの真実―」
メタボリックドミノとメタボリックシンドロームの違い
メタボリックドミノと混同されやすい言葉にメタボリックシンドロームがありますが、これらの言葉には以下のような違いがあります。
| メタボリックドミノ | メタボリックシンドローム | |
| 定義 | 肥満をきっかけとして次々に糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病やその合併症を発症し、最終的に失明や脳卒中といった重い疾患に至る過程 | 内臓脂肪が過剰に蓄積された「内臓脂肪型肥満」に加え、高血圧・高血糖・脂質異常という生活習慣病のリスクが複数重なっている状態 |
| 原因 | ・肥満 ・食生活の乱れや運動不足 ・長年の望ましくない生活習慣の積み重ね | ・食生活の乱れ ・運動不足 ・過剰なアルコール摂取 ・喫煙 ・ストレス ・睡眠不足 など |
| 診断基準 | 最終的に重篤な臓器疾患へ至る過程をドミノ倒しに見立てた概念図であるため基準値はない | ・男性で腹囲85cm以上、女性で90cm以上の内臓脂肪型肥満である ・①高血圧(収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上)、②高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)、③脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満)のうち2つ以上を満たす |
メタボリックドミノは生活習慣病がどのように進行していくかを示す言葉で病気そのものを指す言葉ではないため、診断基準はありません。
またメタボリックシンドロームは国や機関によって診断基準が異なるため、日本の基準を掲載しています。
似ている言葉ではありますが、生活習慣病の進行過程を示すメタボリックドミノと、病気の1つであるメタボリックシンドロームは意味が大きく異なるため注意しましょう。
早い段階で生活習慣を見直すことで、メタボリックドミノの進行やメタボリックシンドロームにかかるリスクを抑えることができます。
参考:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?」
参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「【今さら聞けない?】メタボって何が悪いの?―メタボリックシンドロームの真実―」
メタボリックドミノで連鎖する主な病気
メタボリックドミノで連鎖する主な病気を7つご紹介します。
高血圧
高血圧とは血圧が慢性的に高い状態を示し、病院やクリニックの診察室において繰り返し血圧を測定しても最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上のどちらか一方でもあてはまる場合、高血圧と診断されます。
→高血圧の解説はこちら。
参考:MSDマニュアル家庭版「高血圧」
参考:国立研究開発法人国立循環器病研究センター「高血圧」
脂質異常症
脂質異常症とは、悪玉コレステロール(LDL-C)が140mg/dL以上、中性脂肪(TG)が150mg/dL以上、善玉コレステロール(HDL-C)が40mg/dL未満のいずれかを満たしている状態を指します。(※中性脂肪は空腹時の値)
脂肪肝
脂肪肝とは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積された状態を指します。
脂肪肝の解説はこちら
糖尿病
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分なため、血液中の糖分の濃度(血糖値)が上昇してしまう病気です。
糖尿病の原因、主な症状、治療方法は以下の通りです。
| 項目 | 概要 |
| 原因 | ・(1型糖尿病の場合) 膵臓で遺伝的要因やウイルス感染により、自己免疫反応が起き、インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、インスリンが膵臓からほとんど出なくなるため血糖値が高くなる ・(2型糖尿病の場合) 生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる |
| 主な症状 | ・のどが渇く ・尿量の増加 ・喉が渇く ・全身倦怠感 放置して進行すると、「3大合併症」と呼ばれる深刻な症状が現れます。 ・糖尿病性腎症 ・糖尿病性末梢神経障害 ・糖尿病性網膜症 |
| 治療方法 | ・食生活の改善 ・運動 ・(過体重の場合)減量 ・(1型糖尿病の場合)インスリン注射 ・(2型糖尿病の場合)薬の服用やインスリン注射 |
糖尿病の人が自分の病気や望ましい生活習慣について学ぶことは、症状の改善に有益だとされているため、治療と並行して糖尿病について学びを深めることをおすすめします。
参考:MSDマニュアル家庭版「糖尿病」
参考:国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病とは」
認知症
認知症とは脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、記憶、思考、判断、学習能力などの認知機能が少しずつ衰えていき、日常生活に支障をきたす状態を指します。
認知症の原因、主な症状、治療方法は次の通りです。
| 項目 | 概要 |
| 原因 | 不可逆性の認知症 ・アルツハイマー型認知症 ・血管性認知症 ・レビー小体型認知症 ・前頭側頭型認知症 など 回復可能な認知症 ・正常圧水頭症 ・慢性硬膜下血腫 ・甲状腺機能低下症 など |
| 主な症状 | ・記憶障害 ・実行機能障害 ・言語障害 など |
| 治療方法 | ①進行を遅らせることができる場合もあるが不可逆性の疾患である。 ②治療で認知機能が回復する、見逃してはならない可逆性認知症も考えられるので、その場合は原疾患の治療を行う。 |
物忘れがひどい、人格が変化してきた、時間や場所がわからないといった症状が出たら早めに受診し、本人、家族、医療従事者、介護者などが連携して、回復可能な認知症を除外した上で、進行を遅らせるための体制を整えることが重要です。
参考:MSDマニュアル家庭版「認知症」
参考:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
脳梗塞と脳出血
脳梗塞とは虚血性脳卒中の1つで、脳の動脈が閉塞することによって血流が不足し、脳細胞が壊死することを指します。
| 項目 | 脳梗塞 | 脳出血・くも膜下出血 |
| 本態 | 血管が詰まる(虚血) | 血管が破れる(出血) |
| 原因 | 動脈硬化(アテローム) ラクナ梗塞 心原性塞栓 | 高血圧等による細小動脈破綻 脳動脈瘤破裂(くも膜下) |
| 主な症状 | 片麻痺・感覚障害 一過性黒内障 めまい・複視 | 突然の激しい頭痛(くも膜下) 嘔吐・意識障害・項部硬直 片麻痺 |
| 急性期治療 | rt-PA静注 血栓回収療法 抗血栓療法 | 降圧・頭蓋内圧管理 血腫除去術 クリッピング/コイル塞栓 |
| 方針 | 血流再開通 | 止血・再出血予防 |
心不全
心不全とは、心臓に何らかの機能障害があるために息切れやむくみが起こり、少しずつ悪化して生命を縮める病気です。
心不全は早期に治療するほど治療の選択肢が多く、QOL(生活の質)の低下も予防できるため、疑わしい症状があればまず受診しましょう。
参考:MSDマニュアル家庭版「心不全」
参考:公益財団法人 日本心臓財団「心不全とはなにか」
メタボリックドミノを予防するには?
メタボリックドミノを予防するには、日常生活でどのようなことを心がければよいのでしょうか。
3つご紹介します。
食生活を改善する
メタボリックドミノで発症するほとんどの病気で、食生活の改善が治療法として取り入れられています。
そのため、メタボリックドミノになる前に以下のような望ましい食事を習慣づけることが予防として重要なのです。
・主食、主菜、副菜をそろえたバランスのよい食生活を心がける
・お菓子やアルコールなどの嗜好品で糖質を取りすぎていないか見直す
・鶏肉、卵、魚などを1食に1回取り入れタンパク質を摂取する
・揚げ物、加工肉、乳製品などで過度に脂質を取っていないか見直す
・塩分を控える
食生活の改善では一度で完璧な食生活を自分に課すのではなく、主治医や自分の体調と相談しながら少しずつ整えていくことが大切です。
生活に運動を取り入れる
メタボリックドミノで発症するほとんどの病気では、運動を習慣づけることも治療の1つとして行われています。
運動部や運動系のサークルに所属して得意な運動があった人は、好きな運動を生活に取り入れることで習慣化しやすくなります。
一方得意な運動がなかった人は、生活の中で次のようなことをして消費カロリーを増やすことから始めてみましょう。
・通勤時に到着駅の1つ手前で降りて歩く
・普段は移動手段としてエスカレーターを利用している部分を階段で移動する
・室内での移動時つま先立ちで歩く
・休みの日に15分間家の周囲を散歩することから始め、少しずつウォーキングの負荷や時間を増やす
無理に筋トレや走り込みといったハードルの高い運動を目標として定めると途中でやめてしまう可能性が高いため、ハードルの低い動きを少し生活に取り入れてみて習慣化することが重要です。
良い睡眠を取る
睡眠障害は生活習慣病を悪化させるため、良い睡眠を取ることを意識しましょう。
厚生労働省では睡眠時間×睡眠の質=「良い睡眠」であると発信しています。
良い睡眠とは以下の2つの状態を満たす睡眠のことです。
・睡眠時間がしっかり取れており、途中で目覚めたりせずにぐっすり眠れている状態
・睡眠で十分に休養が取れている感覚(睡眠休養感)がある
もし自分で「良い睡眠」が取れていないと感じたら、以下のポイントを見直してみましょう。
・生活リズムと眠る環境を整える
・運動や食生活が整っているか確認する
・嗜好品を取りすぎていないかチェックする
必要な睡眠時間が確保できているかどうか、起床時に疲れが残っていないかを観察し、少しずつ改善することが大切です。
参考:厚生労働省 健康21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質 大丈夫ですか?」
参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「【今さら聞けない?】メタボって何が悪いの?―メタボリックシンドロームの真実―」
まとめ
メタボリックドミノとは、生活習慣の乱れによる内臓脂肪の蓄積を出発点として、ドミノ倒しのように次々と病気が連鎖していく恐ろしい過程を指します。最初は高血圧や糖尿病、脂肪肝といった症状のない状態ですが、放置すると全身の血管がボロボロになり、最終的には突然死を招く『心筋梗塞』や『脳卒中』、一生涯の人工透析が必要となる『腎不全』、あるいは『失明』といった、二度と元の体には戻れない命に関わる重い疾患に行き着いてしまいます。
この記事も参考にして、生活習慣病の改善に積極的に取り組んでみてください。