大腸カメラとは?大腸内視鏡検査の流れから痛みを軽減する方法まで詳しくご紹介
今度大腸カメラを使って検査をすることになったけれど、痛みや下剤でつらい思いをした人の話をよく聞くので、何か対策はないか探している人はいませんか?
この記事では大腸カメラとは何かから楽に検査を受ける方法まで詳しく解説します。

目次
大腸カメラとは?
大腸カメラとは検査の対象となる内臓が肛門、大腸、小腸の一部であることから正式名称を下部消化管内視鏡検査と言い、ファイバースコープの先端についたCCDカメラで内臓の様子をリアルタイムで見ることのできる医療機器です。
大腸カメラは肛門から挿入するため直径が10~12mm程度と胃カメラと比較しやや太く、がんなどの病変が疑われる組織があれば鉗子で採取したり、ポリープを発見した場合はその場で切除したりできます。
当院ではE C-760XP/L®︎の径9.3mmを採用しております。
大腸カメラと胃カメラの違いについても知りたい人は、次の記事もごらんください。
大腸カメラを行う目的
腸カメラを行う目的は潰瘍性大腸炎の発見やポリープの切除などさまざまですが、一番は大腸がんの早期発見です。
2020年に厚生労働省が発表した人口動態調査の結果では、日本における死因の1位はがんで37万8,385人が死亡しており、死亡総数に占める割合は27.6%でした。
またがんの中でも結腸(大腸の主要な部分で小腸と直腸との間にある)のがんで死亡した人は3万6,204人、直腸S状結腸移行部および直腸(大腸の最後の部分で下端は肛門)のがんで死亡した人は1万5,584人もいたのです。
2001年にアンドリュー・J・オルドリッジとジェイ・N・L・シムソンによって発表された「サイズによる結腸直腸腺腫の組織学的評価」という論文によると1989年~1999年の間に445人の患者から発見された10mm以下のポリープ1,228個のうち、657個は将来的にがんになる可能性の高い腺腫というポリープでしたが、5mm以下のポリープにはがんになる可能性のあるものはありませんでした。
このことから、大腸カメラで5mm以上のポリープを早期発見し切除することは、大腸がんの予防に効果的で死亡率を下げることにもつながるのがわかります。
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態調査(確定数)の概況」
参考:Taylar&Francis Online「サイズによる結腸直腸腺腫の組織学的評価」
大腸カメラで発見できる病気の種類
大腸カメラで発見できる主な病気は次の通りです。
・大腸がん
・大腸憩室
・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
・大腸粘膜下腫瘍
・大腸ポリープ
・感染性腸炎
便潜血検査で陽性の判定を受けた人、便に血が混じっている人などお腹に何らかの違和感を持っている人はこれらの病気を早期発見するためにも大腸カメラを受けてみてください。
大腸カメラにおける痛みの原因と対処方法
大腸カメラで検査をする際の痛みの原因と対処方法は次の通りです。
痛みの原因 | 概要 | 対処方法 |
大腸に空気を送るために起こる痛み | ・ファイバースコープの挿入や大腸内部の観察のために空気を送るが0にはできない | ・酸素での送気ではなく二酸化炭素での送気で対応することで、CO2は腸管に吸収されやすく、張り間の軽減が見込めます ・医師の技術力が必要となるため検査実績の多い医師や内視鏡専門医が在籍している病院を選ぶ |
大腸が曲がっている場所を大腸カメラが通過する痛み | ・曲がっている部分で無理やりファイバースコープを押すと痛みが出る | ・軸保持短縮法などのテクニックで痛みを軽減する |
腸の神経が過敏なために起こる痛み | ・大腸カメラで痛い経験をした人や潰瘍性大腸炎、クローン病の人が痛みを感じやすい | ・少量の麻酔をする |
大腸の一部が周りの組織と癒着しているために起こる痛み | ・帝王切開や胃の手術などの開腹手術後は大腸の一部が周囲の組織と癒着して変形し、大腸カメラがまっすぐ進まないために起こる痛み | ・体位変換をして大腸カメラが通りやすくする ・軸保持短縮法などでスコープを先進する。 |
こんな症状があったら大腸カメラをご検討ください
日常生活において次のような症状があった場合、大腸カメラを用いた検査を検討してみてください。
・便潜血検査で陽性の判定を受けた
・便に血が混じっている
・下痢、便秘、残便感、便が細いなどの症状がある
・腹部にしこりがある
・お腹に違和感がある
・大腸ポリープを治療したことがある
・親族に大腸がんの人がいる
・年齢が40才を超えていて一度も健康診断などで大腸カメラを行っていない
当クリニックでの大腸カメラの流れは次の通りです。
- 事前に外来受診後検査予約をする
- 前日の夕食は20時ごろまでに終え消化の良いものとし、お茶や水などの制限はしない(海藻類、キノコ類、果物類は消化されずに大腸まで届いてしまい大腸内がきれいな状態にならないため控える)
- 朝から絶食し大腸カメラが始まる4時間前から約2リットルの腸内洗浄液(下剤)を2時間程度かけてゆっくり飲む
- 検査着に着替えて肛門に麻酔のゼリーを塗ってから大腸カメラを挿入する
- 15分~30分ほどかけて検査を行う
- 検査後はクリニック内で休み、その後医師より検査結果の説明を受ける
下剤を飲むのにプレッシャーを感じないよう、検査時間4時間前からゆとりを持って飲んでもらうようにしているため、下剤を飲み切れるかどうか不安に感じている人も少し気持ちに余裕を持てるのではないでしょうか。
また鎮静剤を投与することもできるので、検査の苦痛を軽減したい人はこちらもおすすめです。
気になる症状がある方や、健康診断の結果で異常や要再検査となった方は早めに当クリニックにご相談ください。
まとめ
大腸カメラとはファイバースコープの先端についたCCDカメラで内臓の様子をリアルタイムで見ることのできる医療機器ですが、肛門、大腸、小腸におけるさまざまな病気を発見し大腸がんの早期発見にもつながるため、40才以上の人は積極的に検査をすることをおすすめします。
この記事も参考にして、ぜひ大腸カメラへの理解を深め自分に合った検査方法を見つけてみてください。