花粉症とは?原因から治し方まで詳しく解説
毎年時期になると花粉症の症状がひどいけれど、対策も人によってさまざまなのでどのような治療が自分に合っているのかよくわからず困っている人はいませんか?
この記事では花粉症の原因から治し方まで詳しく解説します。
目次
花粉症とは?
花粉症とは花粉がアレルギーの原因物質である抗原となって引き起こされるアレルギー疾患の1つです。
2019年に日本耳鼻咽喉科学会会報で公表された「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」では、花粉症の有病率が年ごとに次のように変化したことが公表されました。
1998年 | 2008年 | 2019年 | |
花粉症の有病率 | 19.6% | 29.8% | 42.5% |
また群馬県の花粉症の有病率は45.4%で、全国平均の42.5%と比較すると2.9%高い結果となっています。
花粉症の患者が増加した背景には戦後の積極的な植林による花粉飛散数の増加と、生活環境の悪化があると考えられています。
参考:日本耳鼻咽喉科学会会報「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」
花粉症の原因
花粉症を引き起こす原因となる植物は日本においては約50種類確認されていますが、それぞれ飛散する時期は異なるため主な植物と、参考として花粉以外でアレルギーの原因となる物質が関東で飛散する時期を表にまとめてみました。
植物の種類 | 関東で飛散する時期 |
ハンノキ属(カバノキ科) | 1月~6月 |
スギ(スギ科) | 1月~5月 |
ヒノキ科 | 1月~6月 |
シラカンバ族(カバノキ科) | 4月~6月 |
イネ科 | 2月~12月 |
ブタクサ属(キク科) | 7月~12月 |
ヨモギ属(キク科) | 8月~11月 |
カナムグラ(クワ科) | 8月~11月 |
カビ(クラドスポリウム・アルテルナリア・ベニシリウム・アスベルギルス) | 5月~7月、9月~10月 |
ガ(昆虫) | 5月~7月、9月~11月 |
ユスリカ(昆虫) | 5月~7月、9月~11月 |
ハウスダスト、ダニ、ネコ、イヌ、ゴキブリ(室内塵) | 通年 |
花粉症にかかる時期が人によって異なるのは、原因となる植物が異なるからだと考えられます。
また群馬県における最新の花粉飛散情報を知りたい場合、日本気象協会の「群馬県の花粉飛散情報2023」のホームページにアクセスすると、今日の花粉飛散情報や週刊花粉飛散情報がチェックできるので、必要な人はアクセスしてみてください。
参考:厚生労働省「コメディカルが知っておきたい花粉症の正しい知識とセルフケア」
参考:日本気象協会「群馬県の花粉飛散情報2023」
花粉症の治療方法
花粉症には、どのような治療方法があるのでしょうか。
2つご紹介します。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬による治療
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬による治療とは花粉症によって引き起こされた症状に対して行われる薬物治療のことで、次のようなことを目的に行われます。
・花粉症の時に体内で増加しているアレルギーの細胞を抑える
・アレルギーの細胞が化学伝達物質(症状の原因となる物質)を放出するのを制限する
・化学伝達物質が神経や血管に作用するのをブロックする
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬による治療では症状に応じて次のような薬が主に使用されます。
花粉症の症状 | 薬 |
くしゃみ、鼻汁などの鼻症状 | ・第二世代抗ヒスタミン薬 ・化学伝達物質遊離抑制薬 |
鼻づまり | ・ロイコトリエン受容体拮抗薬 ・鼻噴霧用ステロイド薬 |
強い鼻づまり | ・点鼻用血管収縮薬 ・経口ステロイド薬 |
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬による治療をすることで、花粉の多い年でも50%~60%の患者が大きな副作用なく花粉症の症状を抑えて花粉が飛散する時期を過ごせるとわかっているのです。
アレルゲン免疫療法(抗原特異的減感作療法)
アレルゲン免疫療法とは花粉症の完全な治癒を目指して、原因そのものを取り除く治療のことです。
アレルゲン免疫療法としては、花粉の抽出液を少しずつ濃度を上げて患者に投与することで、花粉抗原に対して防御することのできる免疫を獲得してもらうアレルゲン免疫療法が主に行われていますが、皮下注射と舌下(舌下に含んで2分間そのままにしその後飲み込む)という2種類の投与方法があります。
それぞれの違いを表にまとめてみました。
舌下免疫療法 | 皮下免疫療法 | |
投与経路 | 舌下(毎日) | 皮下注射(通院時) |
投与時の痛み | なし | あり |
全身性の副作用 | 皮下免疫療法よりは少ないが可能性あり | 可能性あり |
通院回数 | 1ヶ月に1回 | ・増量期 1~2回/週 ・維持期 最初の数回は1回/2週 その後1回/月 |
投与 | 自宅(患者の自己管理) | 医療機関(医師の監督下) |
投与後の観察 | 不要(初回投与時のみ30分) | 30分 |
維持用量 | 変更不可 | 患者ごとに変更可 |
複数抗原による治療 | 不可能 | 可能 |
治療に対する患者の理解 | 必要 | 必要 |
皮下免疫療法と舌下免疫療法について、具体的な治療方法を説明します。
皮下免疫療法
皮下免疫療法は減感作療法、またアレルゲン免疫療法とも呼ばれ最初は濃度の薄い抽出液を、その後は少しずつ濃度を上げて注射を行い、花粉の抗原に対する免疫を獲得させる治療方法で、花粉症の季節の3ヵ月前から開始し、2年以上続けなければなりません。
2010年に発表された厚生省長期慢性疾患総合研究事業の結果によると、スギ花粉症に対して皮下免疫療法を行った人のうち80%以上が軽症、無症状に収まったという結果が出ています。
舌下免疫療法
舌下免疫療法は厚生労働省の補助金支援を受けて2005年に検証されたまだ新しい治療方法ですが、アナフィラキシーショックが少ない、12才以上のスギ花粉症の人であれば高齢者でも治療が受けられるなどのメリットがあるのが特徴的です。
具体的にはスギ・ダニに適応のある錠剤を1日1回1錠、舌下に含んで1分間そのまま保持した後飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えるようにします。
花粉症の症状を緩和しその後も症状が出ないようにするための治療の推奨期間は、花粉の飛散時期ではない6月ごろから開始してその後3~5年となるでしょう。
スギ・ダニに適応のある錠剤を用いた治療は、妊婦や産婦、授乳中の方は行うことができず、花粉症以外にかかっている病気や症状に応じて慎重に行わなければならない場合もあるため、医師の指示に従いましょう。
前の項目でもご紹介した通り、患者の方の自己管理で行う治療方法となるため、舌下免疫療法を希望するならまずは治療方法や副作用について正しく理解することが大切です。
当院では舌下免疫療法を主に治療方法としております。
注射治療
当院では舌下免疫療法の他に注射治療についても、患者さんの症状に合わせて治療いたします。
花粉の症状が重症の方
治療抵抗性の重症花粉症には、抗IgEモノクローナル抗体(オマリズマフ)を投与することもあります。
多聞内科クリニックでは花粉症の根治療法に力を入れています
多聞内科クリニックでは花粉症の根治療法に力を入れて取り組んでいます。
具体的には前の項目でご紹介した舌下免疫療法をメインの治療方法として取り入れ、「よく聞き、よく診る」という当クリニックのキャッチコピーにある通り、1人1人異なる花粉症のお悩みをよくお聞きしてから、治療方法についてご納得いただいた上で治療を進めるようにしているのです。
最新の治療で、長くつきあってきた花粉症ともおさらばしたいという方は、ぜひ多聞内科クリニックにお声がけください。
花粉症とは花粉がアレルギーの原因物質である抗原となって引き起こされるアレルギー疾患の1つで、群馬県においては全国平均より有病率が高いため、早めに治療に取り組んだ方がよいと言えるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ自分に合った花粉症の治し方を見つけてみてください。