大腸ポリープとは?原因から症状まで詳しく解説
この記事では大腸ポリープの原因から症状まで詳しく解説します。
目次
大腸ポリープとは?
大腸ポリープとは、大腸の表面にある粘膜の一部がイボのように盛り上がった状態を指します。
大腸ポリープには次のような種類があります。
構造による分類 | 具体例 | 割合 |
腫瘍性ポリープ | ・悪性腫瘍(がん) ・良性腫瘍 | 80%程度 |
非腫瘍性ポリープ | ・炎症性ポリープ ・過形成性ポリープ ・過誤腫性ポリープ ・その他 | 20%程度 |
大腸ポリープは放置するとがん化する危険性もある
大腸ポリープは、放置することによりがん化する可能性があります。すべての大腸ポリープが「大腸がん」に進行するわけではありませんが、大腸ポリープと大腸がんは密接な関係にあると言ってもいいでしょう。
日本人の食生活の欧米化により、少しずつ大腸がんになる人は増加し続け、女性の死因では1位となっているのが大腸がんです。
厚生労働省が毎年行っている「人口動態調査」によると、大腸がんが原因で死亡した人の数は次のように推移しています。
2022年 | 2021年 | 2020年 | |
男性 | 28,099人 | 28,080人 | 27,718人 |
女性 | 24,989人 | 24,338人 | 24,070人 |
※人数は「結腸の悪性新生物」と「直腸S状結腸移行部および直腸の悪性新生物」の合計値
一方、大腸がんの5年相対生存率(がんと診断された場合に、治療でどのくらい命を助けられるかを表す数値)は次の通りです。
臨床病期 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | ⅳ |
生存率 | 98.8% | 90.9% | 85.8% | 23.3% |
もし大腸がんになったとしても、早期発見をすることで生存確率は大幅に上昇するため、あきらめずに治療に取り組むのが大切です。
良性の大腸ポリープ
良性腫瘍でも、がん化する確率が0ではないため、放置するとがん化する可能性がありますが、あらかじめ切除することでがんを予防できます。
少しでも気がかりな点がございましたら、詳しく診察しながら内視鏡を使用した治療も行いますので、お気軽にお問い合わせください。
参考:「大腸内視鏡について」
参考:日本消化器病学会ガイドライン「大腸ポリープ Q6 どのような大腸ポリープが内視鏡治療の適応でしょうか?」
大腸ポリープの原因
大腸ポリープはどのような原因で発生するのでしょうか。
前の項目でご紹介した腫瘍性ポリープ、非腫瘍性ポリープの2つにわけてご紹介します。
腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープの原因と呼べるリスク因子(がんをはじめとした病気や状態を引き起こす要因)には、次のようなものがあると考えられています。
リスク因子の種類 | 具体例 |
年齢 | ・30代前半から増加し始め、年齢を重ねるにつれて発生頻度が高くなる |
遺伝 | ・家族性大腸腺腫症(大腸に100個以上の腺腫=ポリポーシスができる遺伝性の病気) ・リンチ症候群(生まれつき遺伝子がうまく働かず、大腸がんが引き起こされやすくなる遺伝性の病気) |
生活習慣 | ・食生活(赤身肉、加工肉、高カロリー食の摂取)、肥満、お酒の飲みすぎ、喫煙、食事の欧米化など |
生活習慣以外のリスク因子を回避するのは難しいですが、定期健診を受けて大腸ポリープの早期発見を心掛け、診断を受けたら早めに治療を行うようにしましょう。
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープのリスク因子には次のようなものがあります。
非腫瘍性ポリープの種類 | リスク因子 |
炎症性ポリープ | ・潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の炎症性疾患 |
過形成性ポリープ | ・年齢 |
過誤腫性ポリープ | ・若い人によく見られる組織奇形 |
非腫瘍性ポリープにおいても定期健診などで早めに発見し、治療に取り掛かるのが望ましいでしょう。
大腸ポリープの症状
大腸ポリープには自覚症状がなく、特にサイズの小さいものでは無症状であることがほとんどです。
ただし大腸ポリープのサイズが大きかったり、できた場所が肛門の近くなどの特定の場所だったりすると、自覚症状が出る場合があります。
例えば、お腹やお通じに違和感があるなどの自覚症状があるのに放置すると、がん化するリスクが出てきます。
無症状の人は定期健診を受け、少しでも自覚症状がある人は早めに受診するのが大腸ポリープの症状を悪化させない第一歩だと言えるでしょう。
大腸ポリープの治療方法
大腸ポリープの治療方法を2つご紹介します。
内視鏡治療
内視鏡治療とは、内視鏡(大腸カメラ)を肛門から入れて、大腸ポリープを切除する治療方法です。
大腸ポリープで行う内視鏡治療には、次の3種類があります。
内視鏡治療の種類 | 概要 |
内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー) | ・ポリープの茎にスネアという金属製の輪をかけて高周波電流を流して切除するホットスネアポリペクトミー(HSP) ・茎のある大腸ポリープ切除で行う |
コールドスネアポリペクトミー(CSP) | ・特殊なワイヤー(スネア)を使用して、10mm未満の非有茎性ポリープを切除 |
内視鏡的粘膜切除術(EMR) | ・粘膜の下に生理食塩水や薬液を注入してポリープを持ち上げ、スネアをかけて切除する ・茎のない大腸ポリープ切除で行う |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) | ・粘膜の下に生理食塩水や薬液を注入して専用の電気メスで大腸ポリープの周囲の粘膜を切開。少しずつはがして切除する ・大きな大腸ポリープや大腸ポリープが生理食塩水や薬液で持ち上がらない場合に行う |
3つの中で内視鏡的粘膜下層剥離術は難易度が高いので、経験を積んだ医師によって行われることが多いでしょう。また、内視鏡治療ではお腹を切る必要がないため、外科手術と比較すると身体にあまり負担をかけずに治療をすることができます。
なお、当院ではリスクの少ない以下の手術を実施しています。
- コールドスネアポリペクトミー(CSP)
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
些細なお悩みでも、詳しくカウンセリングを行いますので、腸内問題で気になる方は、まずはお気軽に当院までお問い合わせください。
外科手術
外科手術とは、お腹を開いて大腸ポリープや周囲のリンパ節を切除する治療方法で、内視鏡治療では大腸ポリープを取り切れない場合に行われます。
大腸は排泄など、身体にとって重要な機能を持つ臓器なので、なるべく機能を損ねないように配慮しながら行いますが、難しい場合は人工肛門を造設することもあります。
大腸ポリープの予防方法
大腸ポリープを完全に予防する方法はありませんが、前の項目でご紹介したリスク因子をなるべく回避するのが予防につながると言えるでしょう。
また、次のようなことも大腸ポリープの予防によいとされています。
- 適度な運動
- 野菜を食べて食物繊維を摂取する
- 肥満を解消する
バランスの良い野菜が多めの食事を心掛け、少しでも運動習慣をつけることから始めてみましょう。
多聞内科クリニックでは大腸ポリープの早期治療に取り組んでいます
多聞内科クリニックでは、大腸内視鏡検査を行うことで、大腸ポリープの早期治療に取り組んでいます。
大腸内視鏡検査では大腸ポリープを発見した際、その場で切除することが可能であるうえ、大腸ポリープ以外にも次のような病気を発見できるのです。
- 大腸がん
- 大腸憩室
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 大腸粘膜下腫瘍
- 感染性腸炎
定期検診や健康診断で大腸ポリープを指摘された方は、放置するとがん化する可能性もあるため、ぜひ早期段階で多聞内科クリニックまでご相談ください。
大腸内視鏡検査について | 多聞内科クリニック|消化器内科・肝臓科・一般内科 (tamon-naika.com)
まとめ
大腸ポリープとは、大腸の表面にある粘膜の一部が、イボのように盛り上がった状態のことで、自覚症状がないため定期健診や健康診断で発見することが大切です。
もし大腸ポリープを発見した際は、早めに受診し、治療に積極的に取り組んでみてください。